メカジャンジラ市(字幕:「日本」)

これ見よがしに小美人ぽい人は出てるのに……ってところからビックリだったんですが。

富野由悠季がロボットアニメというフォーマットに固執するように、怪獣映画もまた、数十メートル大の怪獣によって見知った光景が破壊されるさまや怪獣同士のどったんばったん大バトルを視覚情報として感知することによってのみ開通される思索の回路というか脳の未使用領域というかそういう感じの何がしかはきっとあるはずで(あるんだよ)、ゴジラでSFしようと思ったらまずそこを出発点とすべきじゃないの?まあそれがSF者が言うところのSFマインドだのセンスオブワンダーと言えるかどうかは分からないが、そこを放棄してあんなジャンルムービーのサイドメニューとして置かれたなんちゃってSF要素としても中の下レベルの代物をドンと真ん中に据えて生命倫理についてホンカクエスエフしてみました〜ってな顔ができる厚顔さが本当に信じられない。

一万歩譲ってゴジラ型ロボット怪獣の形をとらないメカゴジラを許すとしてもあの要塞のそこかしこに"怪獣"然とした意匠を忍ばせるなり、過去作のメカゴジラの各種武装を引っ張ってくるなり(ハープーンはギリVSメカゴジラオマージュと強弁できなくもないが)、やりようはあったはずで……。

最後あんなに引っ張って「ギドラだ」ってのも肩透かしにも程があるよなあ。せめてそこは「千年竜王……キングギドラ!」級の迷パンチラインを決めてくれよ。この程度の物がどうしてファンへのサプライズになると高を括られてしまったのか。何もかもが全然、カッスカスなんだよ。

元から決して高くはない期待の何層も下を潜って人に原初の怒りを目覚めさせる胸糞映画でした。

本当、いくらなんでもこれは……